脂肪には、「飽和脂肪酸」、「一価不飽和脂肪酸」、「多価不飽和脂肪酸」という3つの種類があり、脂肪がもたらす健康効果を考える場合には、それぞれの脂肪酸の特徴を理解し、明確に区別する必要があります。
飽和脂肪酸は主に動物性の油に多く含まれます。人間にとって欠かせない栄養素は含まれておらず、あまり摂らないほうがよいとされている脂肪酸です。体内の脂肪組織に溜まりやすく、冠動脈疾患のリスクを高めることも指摘されています。
事実、飽和脂肪酸を多く摂取する国では冠動脈疾患の発生率が高く、飽和脂肪酸があまり含まれない食事をしている国では発生率が低めであると報告されています。飽和脂肪酸が少ない料理の例としては、昔ながらの地中海料理や日本食などが挙げられますが、現代の日本人の食生活は、その大半が「昔ながらの日本食」からは程遠く、飽和脂肪酸の過剰摂取に起因する健康問題は増加の一途をたどっています。
肉の脂身や鶏の皮などのほか、牛乳、チーズ、生クリームなどの乳製品も、飽和脂肪酸を多く含む食品です。
健康のためには摂取を避けるべきとされる飽和脂肪酸に対し、不飽和脂肪酸と呼ばれる各種脂肪酸は、私たちの体が必要とするものです。不飽和脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分類され、αリノレン酸とリノール酸という2つの必須脂肪酸(体内で必要量を作ることができない脂肪酸)は、代表的な多価不飽和脂肪酸です。
多価不飽和脂肪酸は、体内環境を整える働きがあります。しかしながら、多価不飽和脂肪酸は構造が不安定なため、加熱もしくは水素添加(植物性マーガリンの製造工程)によって悪性のトランス脂肪になります。こうなるとせっかくの栄養的な価値が損なわれてしまいます。
家庭では、揚げ物や炒め物をする場合に起こります。紅花油(サフラワー油)や大豆油といった代表的な植物油は、主に多価不飽和脂肪酸が豊富であるため、揚げ物料理には適しません。しかし、オリーブオイルなどのように主にオレイン酸が豊富な油は、加熱の影響をあまり受けない分子構造をしているため、加熱調理に向いています。また、青背の魚にも多価不飽和脂肪酸は多く含まれます。
一価不飽和脂肪酸の代表格であるオレイン酸は、体内環境を整える働きがあると言われます。容易に酸化しないため有害な過酸化脂質を作りにくく、身体に有害な影響を与えにくいのも特徴です。
ナッツ類には脂肪が多く含まれることは周知の事実ですが、その脂肪分のほとんどは不飽和脂肪酸で、アーモンドやヘーゼルナッツは、これが一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)となっています。いつもの食事に加えてオレイン酸を摂取することは、生活習慣の乱れがちな方に大いに役立ちます。
アーモンド(Prunus dulcis)は、リンゴやプラムと同じくバラ科の植物です。普段食用にされるアーモンドはその実の種で、9〜10月に収穫され、カリッとした歯ごたえと甘い風味が特徴です。
原産地はイランを中心とするアジア西部の高原や山地で、ユダヤ人によってエジプトに伝えられ、ヨーロッパにはギリシャ人が持ちこみました。3世紀になると、アーモンドを“グリークウォルナット(ギリシャのクルミ)”と呼んだローマ人によってイタリアに広まり、さらにアラブの人々の手によって地中海沿岸全域にアーモンドの木が増えられていくこととなりました。
アーモンドは、良質の栄養を含む重要な樹木作物としてはるか昔から世界中で利用されていますが、なかでも地中海沿岸では生態系の一部としてしっかりと根づいています。
アーモンドは良質の植物性タンパク質が豊富で、必須アミノ酸やその他のアミノ酸がバランスよく含まれています。タンパク質が占める割合は100gにつき19gで、この数値は肉類とほとんど変わりません。また、アーモンドを30g(小皿一杯程度)食べれば、ヨーグルトまたは牛乳150mlと同量、あるいは40gの豆腐よりも多くのタンパク質を摂取できます。
体内で作ることができない必須アミノ酸をバランスよく摂取することができるため、菜食主義を実践する人はもちろん、あらゆる人々の健康に寄与するとされます。また体内リズムを整えるL-アルギニンというアミノ酸を多く含むことも特徴です。
アミノ酸 | FAO推奨摂取量 (タンパク質100g中の割合) |
アーモンド (タンパク質100g中の割合) |
アーモンド/FAO |
イソロイシン | 4.00 | 3.92 | 0.98 |
ロイシン | 7.00 | 7.85 | 1.12 |
リジン | 5.50 | 2.61 | 0.47 |
メチオニン+シスチン | 3.50 | 2.35 | 0.67 |
フェニルアラニン+チロシン | 6.00 | 7.95 | 1.32 |
トレオニン | 4.00 | 2.96 | 0.74 |
トリプトファン | 1.00 | 0.80 | 0.80 |
バリン | 5.00 | 5.58 | 1.11 |
合計 | 36.00 | 34.02 | 0.94 |
アーモンドはすばらしい複合糖質食品で、様々な炭水化物が含まれています。そのため満足感の得られる優れたエネルギー源であり、長期的にみた健康上の効果も期待できます。
アーモンドは約51%が脂肪ですが、そのほとんどは不飽和脂肪酸です。そのうちの65%以上が一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸です。飽和脂肪酸の摂取は控えるべきだと言われますが、アーモンドに含まれる飽和脂肪酸は、総脂肪酸のおよそ8%に過ぎません。
もっとも多く含まれているオレイン酸は、体内環境を整える作用があります。また、アーモンドはコレステロールを含まず、フィトケミカルに分類され、毎日のめぐりを良くするとされるフィトステロール(植物ステロール)を含んでいます(アーモンド100gあたり140mg)
アーモンドはビタミンEの宝庫で、100gあたり約20〜24mgもの天然ビタミンEを含みます。30g(小皿一杯程度)のアーモンドからは、厚生労働省が定める1日あたりの基準摂取量の75%を摂取することができます。ビタミンEにはすぐれた還元作用があり、外的刺激から身体を守ります。
アーモンドにはビタミンEのほかにも、葉酸(ビタミンB9)、ナイアシン(ビタミンB3)、ビオチン(ビタミンB7)、ビタミンB6、ビタミンB2などが豊富に含まれます。
アーモンドに含まれるミネラル成分を見ると、マルチミネラルのサプリメントかと思われるほど、アーモンドはミネラルを豊富に含み、その含有量は100gあたり2.6gにもなります。
マグネシウムとカリウムは、毎日のめぐりをよくし、安定した精神面を支える重要なミネラルですが、アーモンドはこれらの優れた供給源です。また、健康維持に不可欠なカルシウム、鉄、銅、リンなども含有し、微量ながら亜鉛、セレン(セレニウム)も含みます。
食物繊維は満足感を与えるとともに、スッキリを促す働きがあります。ナッツ類は繊維質を豊富に含み、それらは主として、体内環境を整える働きのある不溶性食物繊維です。
不溶性繊維を豊富に含む食事を摂ることは、体調不良のリスク軽減に結びつくという研究結果があります。また、水溶性繊維は毎日のめぐりをよくする効果も期待できます。生活習慣が乱れた方の健康管理にも役立ちます。
栄養学的には成人1日あたり男性19g以上、女性17g以上の食物繊維を摂るのが好ましいとされます。アーモンドの12%を占めるのが食物繊維で、その80%が不溶性、20%が水溶性繊維です。アーモンド30g(小皿1杯)で、3.6gの食物繊維を摂ることができます。
ナッツによるアレルギーが多いことからアーモンドアレルギーを心配する方も多いのですが、現在のところアーモンドアレルギーに関する研究データはほとんどありません。またアーモンドアレルギーを起こす人はごくわずかなようです。
EcoMilアーモンドミルクはマルコナ種と呼ばれる木から採れたアーモンドを使っています。苦味がなくて風味がよく、殻も簡単にむけるため、製品に殻が混入することもありません。殻をむいたアーモンドは残留物がないよう水で洗浄され、定期的に品質検査が行われます。もちろんグルテンや乳糖、乳タンパク質は添加していません。